1〕 慢性副鼻腔炎とは
慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)は頭部の含気腔(空気で占められる空洞)に細菌の炎症により膿の貯留や粘膜の腫れが生じる病気です。以前は”蓄膿症”と呼ばれていました。

2〕 原因とは
・ウイルス感染後の細菌感染
・外傷
・気圧変化

3〕 かぜに類似した症状を示します
症状は感冒と類似しており、増悪寛解を繰り返すことが特徴です。また慢性副鼻腔炎には鼻ポリープが高率に合併します。最近の慢性副鼻腔炎は、従来の典型的症状である膿性鼻漏以外にも、アレルギの要素が加わったり、嗅覚障害や頭痛、眼症状などの様々な症状や病態が混在するようになっています。また小児では鼻症状だけでなく、眼瞼腫脹、啖や咳を伴うことが特徴です。

4〕 放置するといろいろな病気を引き起こします
中耳炎や呼吸障害などの他の病気の原因ともなります。さらに、慢性副鼻腔炎を放置すると下気道の病気―つまり慢性気管支炎や喘息などを引き起こしたり、増悪させたりし、決して軽んじてはならない病気です。特に中高齢者は年齢とともに肺機能が低下し、慢性副鼻腔炎の合併によって快適な日常生活にも支障が生じる可能性もあり、早めの治療を推奨します。

5〕 診断にはX線検査やCTが必要です

  1. 診断(定義)
       ・ 3ヶ月以上持続する鼻の症状
       ・ 画像診断による副鼻腔陰影の存在
  2. 補助診断
       ・鼻汁スメア:鼻水を顕微鏡で観察
       ・アレルギー検査:アレルギーの原因検索
  3. マクロライド抗生剤
       ・少量長期療法(通常の半分量、2から3ヶ月投与)
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
  4. 粘液融解剤
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
       ・自他覚所見にあまり影響なし
副鼻腔の感染・鼻副鼻腔炎

 

薬物療法

6〕 薬剤の種類と選択基準

  1. 抗生物質
       ・急性の細菌感染による増悪期
       ・細菌培養検査と抗生剤感受性検査
  2. マクロライド抗生剤
       ・少量長期療法(通常の半分量、2から3ヶ月投与)
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
  3. 粘液融解剤
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
       ・自他覚所見にあまり影響なし
  4. 抗ヒスタミン剤と抗ロイコトルエン剤
       ・アレルギー性素因を背景に有している症例
  5. ステロイド内服剤
       ・全身投与は著しい好酸球浸潤を伴う高度の難治性ポリープ病変に短期間のみ使用
       ・好酸球性副鼻腔炎、アスピリン喘息、アレルギー性真菌性副鼻腔炎が相当
  6. ステロイドの点鼻薬
       ・鼻ポリープ症例に適応
投与前/投与後・マクロライドの作用機序

 

鼻洗浄

7〕 局所療法としてネブライザーと鼻洗浄も有用
診療所・病院での薬剤によるネブライザーや自宅での温かい生理的食塩水による鼻洗浄も局所療法として推奨できます。朝晩の洗浄により鼻腔の炎症性分泌液を排除し、鼻茸の縮小、再発予防が可能です。鼻洗浄のための種々な器具として電動型鼻洗浄治療ネブライザー(リノフロ(R))、手動式ポンプによる鼻洗浄器(エネマシリンジ(R))、携帯型が市販されています。副鼻腔を洗浄する方法としては下鼻道経由の上顎洞穿刺やYAMIKカテーテルを用いる方法があります。

携帯型鼻腔洗浄スプレー・薬剤によるネブライザー・手動式ポンプによる鼻洗浄器

 

手術療法

 

手術療法

8〕 内視鏡による画期的な手術が主流
従来の慢性副鼻腔炎の手術法は上口唇の裏の粘膜を切り、さらに頬の骨を削るもので、術後の顔面のしびれや腫れが起きました。新しい手術法は内視鏡を用いて鼻の穴から副鼻腔の病的な粘膜やポリープを除去する画期的なものです。従来の方法に比べて、患者さんの手術への負担は軽くなります。病気が軽症の場合は入院しないで、外来での手術も可能になり、忙しい方には福音です。

手術前/手術後

9〕 内視鏡による手術の成績は75%以上
今までに手術を受けていない初回手術例に対しての自覚的な症状の改善率は75~98%と満足な結果が得られています。術後成績は短期間の内服ステロイド剤や少量長期間のマクロライド剤とステロイド噴霧剤、外来処置によってさらに向上できます。一方、再手術例、喘息合併例、高度病変例は治癒率の低下が指摘されています。副損傷の発生頻度では高度副損傷は0~2.7%で、軽度副損傷は5.0~15.1%で、そのうち眼窩損傷が占める割合はどちらも約半数程度と高い頻度を示しています。