風邪の8割以上はウイルス感染であるとされていることから、抗菌薬は不要であり、従来行われてきた、総合感冒薬と抗菌剤処方という治療法は近年世界的に見直されてきています。

・非上気道炎型
急性の鼻炎、咽頭炎、下気道炎症状が同時期に同程度生じている状態で、症状が多領域にわたる多様性がウイルス感染の特徴とされます。

・鼻炎型
鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻詰まり)が主症状。

・咽頭炎型
咽頭痛が主症状で、扁桃炎の併発も含まれます。鑑別上A群β溶血性レンサ球菌による咽頭炎が抗菌薬の適応となります。

・気管支炎型
咳嗽が主症状である場合。

特殊な風邪

・インフルエンザ
近年はA型(H1N1, H3N2)、B型の3種類による流行が主流です。地域を巻き込む流行性を持つことや発熱、全身症状の強さから他の風邪症候群とは一線を画して認識されています。急激に発症する発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、咳嗽、全身倦怠感の症状と鼻咽頭粘液をサンプルとした診断キットを用いることで診断されます。近年ではインフルエンザウイルスに有効な抗ウイルス薬(タミフル)が開発され、症状の緩和、罹病期間の短縮に有効ですが、48時間以内に使用しなければ効果がなく、早期に確実な診断が重要です。

・SARS
SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)は新型のコロナウイルスによる新興感染症で、健康成人に多く発症します。2~10日の潜伏期間の後、38℃以上の発熱、全身倦怠感、筋肉痛などの初発症状を示し、発症数日後から咳嗽、呼吸困難などの下気道症状が現れます。この時期の飛沫、尿、便中にウイルスが排泄され高い感染性を示します。下気道症状を呈する症例では約8割に胸部レントゲン写真に異常陰影を示します。10~20%が重症呼吸不全に陥り人工呼吸器管理となります。現時点で確立された治療法はありません。患者の隔離、医療従事者の感染対策が重要です。