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難聴をきたす疾患
難聴をきたす疾患は数多くあり、同じ難聴でも治療法がさまざまであり、なれない病名を外来で診断されても、なかなかピンとこないでしょう。
ある程度、疾患について患者が理解していれば緊急時の対応で困ったときも、外来での処置に疑問を持ったときでも役に立つと思います。
そのためにも非常に簡単に、耳の構造と、役割、疾患について説明したいと思います。
まず耳は大きく分けて3つの構造からなっています。耳の外から順に外耳道、中耳、内耳と分けられ、その後神経を通って脳につながります。それぞれの構造と機能は、外耳道は音が入ってゆくトンネル状の構造で、音に関しては特別な機能は有していません。音はそのまま中耳へ伝わります。中耳は別名鼓室と呼ばれ、太鼓と同じ構造をしており、音によって太鼓の膜である鼓膜が振動し、その振動を増幅させます。その増幅された振動は最後の内耳へつながり、そこで振動は電気的な信号に変えられます。ここには平衡感覚のセンサーもあるため、内耳の障害では眩暈症状も出てくることがあります。平衡感覚は左右のバランスを計測しているため、どちらかの障害があればぐるぐる回っている感じになります。その後、電気的信号は電気コードである聴神経が脳に情報として運び、そこで解析、理解されるわけです。
つまり音は音波としてトンネルをくぐり、太鼓で振動に変わり、アンプで電気信号に変わりレコーダーである脳で記憶されるというわけです。まず外耳道の疾患ですが

1〕 外耳道疾患(トンネルの部位での疾患)
  1. 耳垢塞栓
  2. 外耳道異物
  3. 先天性外耳道閉鎖症
  4. 感染による外耳道狭窄
  5. 外耳癌、外耳腫瘍
2〕 中耳疾患(太鼓の機能障害)
  1. 急性中耳炎
  2. 滲出性中耳炎
  3. 慢性中耳炎
  4. 真珠腫性中耳炎

以上が代表的な中耳疾患ですが、ほかにも腫瘍性のものや、外傷性のもの、などがあります。

3〕 内耳疾患(変換機および伝達コードの障害)
  1. メニエール病
  2. 突発性難聴
  3. 外リンパ漏

以上が代表的な内耳疾患ですが、ほかにウイルスや細菌による内耳炎、薬剤による難聴、騒音による難聴、年齢的なものに起因する難聴などがあります。内耳という特性上めまいを合併し、神経障害であるため回復に時間を要する疾患が多いといえます。
また伝達コードである聴神経からくる難聴は腫瘍性のものが多く、その名のとおり聴神経腫瘍等があります。一般的に腫瘍性のものは徐々に進行するものが多いとされています。


耳垢塞栓

耳あかがつまって耳が聞こえにくくなった状態で、お年寄りの場合は以前からの難聴や少しずつ悪くなってきた等の訴えで来られます。また耳あかがプールなどの水で膨張して急に耳が聞こえにくくなることもあり、その場合痛みはなく、耳に圧迫感が出現します。
どちらにしても原因が耳垢の場合は救急で受診する必要はなく、外来ですぐに取れますが、取れにくい場合は薬を使って柔らかくして、数回に分けて除去することもあります。


外耳道異物

上記と同じですが、異物には子供ではBB弾や豆、消しゴムなどで、大人は麺棒の綿や、稀に昆虫などが入ることがあります。痛みがあれば早めの除去が望ましく、外耳道以外の損傷も起こしている可能性があります。除去後も痛みが続けば、化膿していることもあり受診が勧められます。


感染による外耳道狭窄

トンネルの部分に感染があり、そのせいで音が入りにくくなります。耳に抗生物質物質入りの点耳薬を投与すればよいことが多いですが、自分で耳をいじると悪くなるので触らないようにしましょう。これらに腫瘍を加えたものが代表的な外耳道疾患です。


先天性外耳道閉鎖症

生まれた時にトンネルがまだ不完全である状態のもので、耳介の奇形も伴っているものが多く、もしお子様に耳介の奇形があったら耳鼻科で検査したほうがよいでしょう。もちろん奇型がなくとも呼びかけに反応が悪かったり、言語獲得が不良である場合も耳鼻科での検査が勧められます。この場合は学校に行くまで加療が必要でないこともありますが、聴力補助目的にも検査は極力早いほうがよいでしょう。


外耳癌 New!!

  外耳道に発生する悪性腫瘍は稀ですが、主に扁平上皮癌など病理タイプがあります。外耳道に限局し骨破壊のみられない症例では、外耳道全摘術や外側側頭骨摘出術が行われます。他の部位に浸潤がや頸部リンパ節転移が認められる場合は側頭骨亜全摘術や合併部位切除や頸部廓清術等が行われます。また、病状により化学療法や放射線治療も加えられることもあります。
 当院では、外耳癌に対して積極的治療を行っており、手術療法および化学療法、放射線科との密な連携により放射線治療を行っております。


急性中耳炎

太鼓の中にばい菌が入り痛くなった状態です。また、太鼓の中に膿が詰まって音の増幅効果が得られないため難聴になります。ここで感染経路を理解するために、少し耳管という器官について説明します。太鼓の膜に相当する鼓膜は十分はっているときに一番音が響く状態となります。その状態を保つために耳の奥と鼻とを結ぶ管があり、太鼓の中の気圧の調節をしています。普段はその管は閉じていますが、気圧の変化等で、鼓膜がへこんでしまった状態には、つばを飲み込むなどの動作で耳管が開き気圧の調節がなされ、鼓膜のはりは元に戻ります。
よくトンネルや飛行機で耳がボーとすることがありますが、それは鼓膜がへこんでいる状態であり、つばを飲み込むと解消されるのは、その機能によるものです。
その耳管という管から、鼻の中にあるばい菌が入ってしまうのが急性中耳炎です。
ですから強い鼻かみなどはよくないといえるでしょう。痛みが出現するのは閉鎖された空間でばい菌が増殖するからです。
子供に中耳炎が多いのは、耳管が鼻から耳にばい菌が行きやすい状態になっているからであり、成長とともに構造的にばい菌が入りにくくなってきます。子供の中耳炎も耳の後ろを氷で冷やしたり、痛み止めの内服でおさまるようなら、必ずしも緊急に病院に行く必要はありません。耳漏が出れば、ばい菌は排出されるので、痛みはおさまってきます。しかしその後はしっかり通院したほうがよいでしょう。そうでないと痛みは消失しても、太鼓の中に水がたまって難聴を引き起こす滲出性中耳炎中耳炎や、鼓膜に穴が開いたままになる慢性中耳炎に移行してしまう可能性があります。


滲出性中耳炎

鼓膜の内側に無菌性の滲出液がたまってしまうために音がこもってしまう状態です。活動性のある細菌がいないため痛みは伴いませんが、逆に小児の場合は自覚症状がないため家族が気付かないことがあります。これは急性中耳炎、上気道炎の後や、耳管機能障害により、鼓膜が内側にへこんだ状態が続くと水分を細胞から吸い取るかたちとなり、また排水口となるべき耳管機能障害により、滲出液がたまった状態になります。呼びかけに対して子供の反応が悪かったり、テレビの音が大きい場合は一度聞こえの検査をしてみるとよいでしょう。成人では早期から難聴、耳閉感、耳鳴、自声強聴、頭重感など症状が出現します。治療は内服治療や通院により鼻水をきれいにすることとなります。鼓膜を切開し滲出液の排出することにより、速やかに難聴は消失しますが、原因に対する検査と加療をしなければ症状を繰り返すこともあります。
また、滲出液の粘調度が非常に高い場合は繰り返し発生するため、鼓膜チューブを入れることもあります。


慢性中耳炎
右耳>鼓膜に穴が開いている。 左耳>鼓膜に穴が開いている

 急性中耳炎や外傷性に鼓膜に穴が開いた時には、自然と穴はふさがってきますが、穴が大きい場合や、感染などが生じると、ふさがる前に傷が治ってしまいます(修復作業が終了して安定した状態)この状態を慢性中耳炎と呼びます。感染経路が耳の外からと内側の鼻からになるため、耳漏を繰り返します。閉鎖された空間ではないので痛みはあまりありません。通院にて耳の感染を取り除く必要があります。
緊急性のある病気ではないので、早めに外来に行くぐらいでいいでしょう。
 菌のタイプによっては難治性のものもあり、長期通院が必要となります。持病に糖尿病がある場合にも難治性となることがあります。
 鼓膜を閉じる手術(鼓膜形成術)を行う事により閉鎖することができます。ただし、耳だれの続く方や、耳管の機能が悪い方は改善するまで手術を見合わせることとなります。


真珠腫性中耳炎
右耳>上鼓室に陥凹があり、一部に耳垢が確認できる 左耳>上鼓室の陥凹にに真珠腫塊が見られる。

 外耳道は常に耳垢として古い組織を排出し、新しい組織で作り直す作業をしています。耳は行き止まりのトンネルのような構造になっていますが、耳垢がたまらないように中から外へ再生する方向をもっています。
 しかし鼓膜がへこみすぎてしまった状態や、鼓膜に穴が開いた状態となったとき、その方向性が逆転してしまうことがあります。その場合、再生と排出の方向が内部に進むこととなり、外耳道でなく中耳に骨破壊とその空間に耳垢がたまる状態となってしまいます。この状態を真珠腫性中耳炎と呼び、感染によるものではないため、無症候性に進行し初発症状は難聴、耳漏が多く、進行状況によりめまい、顔面神経麻痺もおこしてきます。
 治療は手術療法が第一選択となります。局所麻酔か全身麻酔での手術となり入院期間は約10日間〜14日となります。手術療法の第1の目的は真珠腫の完全除去で、可能であれば耳小骨連鎖の再建を行い、可能な限り難聴の改善を目指します。


突発性難聴

突然おきる原因不明の内耳性難聴であり、原因はウイルス感染や、血のめぐりが悪くなって起こったものと考えられています。随伴症状としてのめまいは珍しくありません。治療は循環改善薬、代謝改善薬、ステロイドホルモンなどで、神経ブロックといい神経に麻酔をすることにより、血管の緊張を解き血の流れを良くする治療などがあります発症後約1〜2ヵ月で聴力検査上、治療に反応しなくなるといわれているため、難聴の程度によっては早期の入院加療が望ましいこともあります。
  聴力の改善には時間がかかるため退院時に聴力が改善していないことは多いと思われますが、治療効果は退院後も続きます。


顔面神経麻痺

顔面神経が麻痺すると片方の顔の動きが悪くなり、目を閉じられなくなったり、食べ物や水が口から漏れたり、味が分かりづらくなったりします。症状と原因にあった治療が必要になります。

顔面神経について
顔面神経は脳から出て側頭骨内を通り、耳の下から出てきて、顔の表情を作る筋肉に分布しています。この経路のうちいずれかが障害を受けると顔面神経麻痺になります。
  顔面神経は顔を動かす筋肉に分布しています。その他にも涙や唾液を出したり、味覚にも関係しています。
 
顔面神経麻痺の症状
顔面の表情運動障害、涙分泌障害、味覚障害などの症状をきたします。
また、ヘルペスウイルスが原因による麻痺の場合は耳や口の中に湿疹ができ痛みを伴い、耳鳴り、難聴、めまいを伴うことがあります。

顔面神経麻痺の原因
・中枢性麻痺(脳腫瘍や脳血管麻痺)
・末梢性麻痺 ベル麻痺―特発性、原因不明。
ラムゼイ・ハント症候群―ヘルペスウイルスによるもので耳や口の中に湿疹ができ痛みを伴います。
その他、中耳炎、腫瘍、先天性など。

外傷による顔面神経麻痺
事故やけが等による側頭骨(頭がい骨)の骨折により起こった顔面神経麻痺では手術が必要になります。

顔面神経麻痺の検査
聴力検査、血液検査、味覚検査、あぶみ骨筋反射、シルマーテスト(涙の分泌試験)、頭部MRI、ENoG(誘発筋電図検査:顔面神経を刺激し筋電図として記録し左右を比較し、回復に要する時間も判定できます。)等。

顔面神経麻痺の治療
ベル麻痺は麻痺が軽度な場合は外来での内服治療を行いますが、麻痺が高度の場合は現在最も一般的に行われているステロイド大量療法で麻痺の改善を図ります。ラムゼイ・ハント症候群は抗ウイルス薬を併用します。その他、循環改善剤、ビタミン剤を用います。
また、リハビリとして顔の筋肉をほぐし、動きを良くする顔のマッサージも専門家の指導のもとに行います。
必要に応じて顔面神経減荷術という神経の圧迫をとる手術療法を検討します。

形成外科的手術
筋肉のつり上げ手術や目が閉じない場合にゴールドプレートを挿入し閉じるようにする手術も行っています。

治癒率
ベル麻痺 :91%の改善率
ハント麻痺:80%の改善率を認めています。


外リンパ漏

中耳と外気圧変化により内耳の壁に小さな穴が開いてしまったために引き起こされた難聴で、航空機の上昇下降時や、ダイビング、列車でのトンネル進入時、強く鼻をかんだとき、くしゃみ、咳き込みなどで発症することが多い。発症時に音がしたり、持続する水流音などを自覚することもありますが、症状は患者によって様々であり、難聴も高度から軽度のもの、進行性、変動性のものと様々です。また、めまいも自覚症状として出現することがあります。治療は入院治療が良いと考えられ、入院後安静と点滴治療、経過によっては手術による確認と、穴があれば閉鎖術を行います。


メニエール病

めまいの病気と考えられがちですが、これは主に難聴をきたす疾患です。
症状は繰り返す難聴と随伴するめまい症状です。内耳にはリンパ液という液体が常に流れています。
メニエール病は別名内リンパ水腫と言われ、内耳が水ぶくれになり機能障害を起こしているのが病態です。治療には尿を出す薬が使われ、これにより水ぶくれの状態は改善されます。
治療は入院が望ましいと考えられ、めまい、難聴の強さによっては入院を余儀なくされることもあります。難聴が強ければ、ステロイドホルモンの使用も併用します。


めまい

めまいと一口に言ってもその症状は様々です。ぐるぐる回転するようなめまい、フワフワするような浮動感、一時的なチラチラ(一過性動揺視)、足元のふらつき(不安定感)、目の前が真っ暗になる眼前暗黒感や立ちくらみ等々多種多様です。回転性のめまいは耳(内耳)の病気で起こることが多く、非回転性のめまいは脳の病気でおこることが多いと言われていますが、症状だけですべてがわかるわけではありません。めまいの原因を明らかにしていくためにも、きちんと検査を行なうことが必要です。下記に代表的なめまいの病気をあげます。

耳(内耳)の病気によりおこるめまい
内リンパ水腫(内耳はリンパ液で満たされていますが、このリンパの増加や排泄障害がおこるとめまいを生じます。)→メニエール病
内耳の器官の一部(耳石)がはがれて浮遊する→良性発作性頭位眩暈
循環障害やウイルス感染→めまいをともなう突発性難聴
前庭神経(内耳でとらえた情報を伝える神経)の炎症→前庭神経炎
リンパ液の漏れ→外リンパ漏

脳の病気によりおこるめまい
脳血管の障害→脳出血、脳梗塞、椎骨脳底動脈循環不全等
腫瘍→聴神経腫瘍、小脳腫瘍等

全身の病気によりおこるめまい
不整脈→房室ブロック、心房細動等
血圧の変動→起立性低血圧、高血圧等
その他→不安、疲労、低血糖、貧血、高脂血症、甲状腺機能障害、自律神経失調等



アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、発作的に繰り返して起こるくしゃみ、はなみず、はなづまりの3つの症状を特徴とする病気です。アレルギーは体の中に入ってきた異物を体の外に出してしまおうとする生体防御反応と考えられます。アレルギー反応はすべての人に起こるのではなく、侵入してきた異物に過敏に反応する人には起こりやすく、その結果起こる病気がアレルギー性疾患です。従って、アレルギー性鼻炎は呼吸とともに吸い込んでしまう空気中の微細な物質(抗原)が原因となります。その代表的なものがハウスダスト(家の塵やその中のダニ)、スギやブタクサなどの花粉、カビの胞子です。花粉が原因で鼻や眼に起こるアレルギーを「花粉症」と呼んでいます。
治療法としては、1)抗原の回避、2)減感作療法、3)薬による治療、4)手術療法に分けられます。花粉の回避法としては花粉予報に注意して、花粉量が多い日は外出せず、窓やドアを閉めることです。外出の日は花粉用マスクが有効です。家のホコリが抗原の場合はたたみ、毛布、マットレス、じゅうたんをよく直射日光にあて、乾燥させたりして、ダニを取り除くことです。現在、多くの薬が利用できるようになってきています。治療目的と症状をあわせて、適切な薬を選択することが必要です。花粉症のように症状発現が予測できる場合は、症状が発現しないように予防的な薬の使い方をするほうが有効です。最近、日帰り・短期入院手術として、アルゴン凝固装置やレーザーによるアレルギー性鼻炎の手術療法が行えるようになりました。比較的簡便に行え、薬の服用から開放されるのが利点です。


慢性副鼻腔炎

1〕 慢性副鼻腔炎とは
慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)は頭部の含気腔(空気で占められる空洞)に細菌の炎症により膿の貯留や粘膜の腫れが生じる病気です。以前は"蓄膿症"と呼ばれていました。

2〕 原因とは
・ウイルス感染後の細菌感染
・外傷
・気圧変化

3〕 かぜに類似した症状を示します
症状は感冒と類似しており、増悪寛解を繰り返すことが特徴です。また慢性副鼻腔炎には鼻ポリープが高率に合併します。最近の慢性副鼻腔炎は、従来の典型的症状である膿性鼻漏以外にも、アレルギの要素が加わったり、嗅覚障害や頭痛、眼症状などの様々な症状や病態が混在するようになっています。また小児では鼻症状だけでなく、眼瞼腫脹、啖や咳を伴うことが特徴です。

4〕 放置するといろいろな病気を引き起こします
中耳炎や呼吸障害などの他の病気の原因ともなります。さらに、慢性副鼻腔炎を放置すると下気道の病気―つまり慢性気管支炎や喘息などを引き起こしたり、増悪させたりし、決して軽んじてはならない病気です。特に中高齢者は年齢とともに肺機能が低下し、慢性副鼻腔炎の合併によって快適な日常生活にも支障が生じる可能性もあり、早めの治療を推奨します。

5〕 診断にはX線検査やCTが必要です

  1. 診断(定義)
       ・ 3ヶ月以上持続する鼻の症状
       ・ 画像診断による副鼻腔陰影の存在
  2. 補助診断
       ・鼻汁スメア:鼻水を顕微鏡で観察
       ・アレルギー検査:アレルギーの原因検索
  3. マクロライド抗生剤
       ・少量長期療法(通常の半分量、2から3ヶ月投与)
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
  4. 粘液融解剤
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
       ・自他覚所見にあまり影響なし
副鼻腔の感染・鼻副鼻腔炎

薬物療法

6〕 薬剤の種類と選択基準
  1. 抗生物質
       ・急性の細菌感染による増悪期
       ・細菌培養検査と抗生剤感受性検査
  2. マクロライド抗生剤
       ・少量長期療法(通常の半分量、2から3ヶ月投与)
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
  3. 粘液融解剤
       ・慢性期の非アレルギー性炎症
       ・自他覚所見にあまり影響なし
  4. 抗ヒスタミン剤と抗ロイコトルエン剤
       ・アレルギー性素因を背景に有している症例
  5. ステロイド内服剤
       ・全身投与は著しい好酸球浸潤を伴う高度の難治性ポリープ病変に短期間のみ使用
       ・好酸球性副鼻腔炎、アスピリン喘息、アレルギー性真菌性副鼻腔炎が相当
  6. ステロイドの点鼻薬
       ・鼻ポリープ症例に適応
投与前/投与後・マクロライドの作用機序

鼻洗浄

7〕 局所療法としてネブライザーと鼻洗浄も有用
診療所・病院での薬剤によるネブライザーや自宅での温かい生理的食塩水による鼻洗浄も局所療法として推奨できます。朝晩の洗浄により鼻腔の炎症性分泌液を排除し、鼻茸の縮小、再発予防が可能です。鼻洗浄のための種々な器具として電動型鼻洗浄治療ネブライザー(リノフロ(R))、手動式ポンプによる鼻洗浄器(エネマシリンジ(R))、携帯型が市販されています。副鼻腔を洗浄する方法としては下鼻道経由の上顎洞穿刺やYAMIKカテーテルを用いる方法があります。
携帯型鼻腔洗浄スプレー・薬剤によるネブライザー・手動式ポンプによる鼻洗浄器

手術療法

手術療法

8〕 内視鏡による画期的な手術が主流
従来の慢性副鼻腔炎の手術法は上口唇の裏の粘膜を切り、さらに頬の骨を削るもので、術後の顔面のしびれや腫れが起きました。新しい手術法は内視鏡を用いて鼻の穴から副鼻腔の病的な粘膜やポリープを除去する画期的なものです。従来の方法に比べて、患者さんの手術への負担は軽くなります。病気が軽症の場合は入院しないで、外来での手術も可能になり、忙しい方には福音です。

手術前/手術後

9〕 内視鏡による手術の成績は75%以上
今までに手術を受けていない初回手術例に対しての自覚的な症状の改善率は75〜98%と満足な結果が得られています。術後成績は短期間の内服ステロイド剤や少量長期間のマクロライド剤とステロイド噴霧剤、外来処置によってさらに向上できます。一方、再手術例、喘息合併例、高度病変例は治癒率の低下が指摘されています。副損傷の発生頻度では高度副損傷は0〜2.7%で、軽度副損傷は5.0〜15.1%で、そのうち眼窩損傷が占める割合はどちらも約半数程度と高い頻度を示しています。

好酸球性副鼻腔炎 NEW

最近、注目されている疾患です
好酸球性副鼻腔炎は副鼻腔粘膜または鼻ポリープに著明な好酸球浸潤を伴う易再発性の慢性副鼻腔炎の総称です。好酸球は血液中のリンパ球の一種で、一般的には喘息、アレルギー性鼻炎などの病気を引き起こすことが知られております。好酸球性副鼻腔炎は喘息を持っている方または喘息の予備軍の方に多く認めます。

喘息の合併や初期症状に留意する
 この疾患は喘息やまだ発症していない喘息の予備軍と合併しやすく、鼻のみならず気管支の病変にも留意すべきです。鼻症状や感冒症状とともに、咳、喘鳴(ゼイゼイ)、呼吸困難がある場合は喘息の初期症状のこともあり、専門医への受診が望まれます。

治療はステロイド療法と鼻の手術です
 従来の慢性副鼻腔炎とは異なり、マクロライド半量長期療法の効果が期待できません。治療は鼻茸、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡手術(慢性副鼻腔炎の項参照)と長期にわたる術後管理が主体です。

再発の徴候は嗅覚障害(ニオイがしない)ことです
手術でポリープを完全に除去しても、手術後に風邪を引いたり、喫煙を継続していると再発する可能性が極めて高くなります。治療に抵抗性を示し、手術とステロイドの全身投与が唯一に有効である。また血中好酸球の絶対数の増加も予後不良因子である。
再発の徴候は「物のニオイがしなくなる」という事が多いので、再発の初期段階であれば、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)を短期間内服するだけで、再発を防ぐことが出来ます。





好酸球性副鼻腔炎の診断基準(試案)

 1)多発性鼻ポリープ:特に、嗅裂、中鼻道の病変
 2)喘息合併:肺機能検査の併用
 3)著明な好酸球浸潤を伴う鼻ポリープ
 4)好酸球に富む粘稠な鼻漏、時に膠状(好酸球性ムチン)
 5)早期の嗅覚障害
 6)ステロイド剤の全身投与による鼻ポリープの消退
 7)画像診断:特に、MRI



鼻出血

いわゆる「はなぢ」です。鼻血がでたらまず、落ち着いて以下の止め方を試して下さい。

原因
鼻の中が花粉症などアレルギーの状態にあると鼻の粘膜が荒れてかゆくなり、子供では指でいじることが多く、粘膜を傷つけて出血が起こります。
中高齢者では鼻の奥のほうの血管が突然破れ大出血することがあります。
高血圧、動脈硬化、肝臓病、血液疾患がある場合やワーファリン・アスピリンなど血液をさらさらにする薬を飲んでいる場合は出血しやすかったり止まりづらかったりします。
その他、異物・腫瘍・外傷などが原因になることがあります。

出血部位
ほとんどが鼻の入り口から1〜2cmの所からの出血。この部位は血管が集中しており、指などによるわずかな刺激でも出血します。
鼻の奥のほうからの出血は高血圧や動脈硬化など基礎疾患があることが多いです。

止血法
まず、落ち着いて座ります。少し前かがみになり、両側の小鼻を奥まで大きくつまみ強く押えます。15〜20分離さずに押え続けます。のどの方に血がまわってきたときは飲み込まずに口から出してください。飲み込むと気持ち悪くなってしまいます。

以上の処置でほとんどの鼻血は止まります。
繰り返しても止まらない場合は、耳鼻科専門医を受診して下さい。耳鼻科では内視鏡を使い鼻の奥までみて出血部位を確認し、止血剤を用いたりガーゼによる圧迫をします。繰り返す場合にはレーザーやアルゴンプラズマ凝固装置などを用いて出血部位を焼いてしまいます。
鼻の奥の出血で止まりにくいときには入院が必要になることがあります。


へんとう病巣感染症

扁桃が原病巣となってそれ自体が無症状か軽微な症状にすぎないにもかかわらず扁桃から離れた臓器に器質的・機能的障害を引き起こす病態を扁桃病巣感染症といいます。
扁桃の摘出により症状の改善がみられた疾患は多種多様に報告されていますが、現在、掌蹠膿疱症、IgA腎症、胸肋鎖骨過形成症は扁桃摘出による効果が極めて高いことから扁桃病巣感染症の関連疾患として認知されています。その他の関連疾患に尋常性乾癬、アレルギー性紫斑病、関節リウマチなどの報告があります。性比は女性に多く男性の2倍以上です。
病巣感染症扁桃自体には特異的な所見はなく扁桃固有の症状もほとんどありません。診断には従来から扁桃誘発試験と打ち消し試験が行われてきました。
治療は手術による摘出です。


急性へんとう炎

急性扁桃炎は耳鼻咽喉科の日常臨床においてもっともしばしば遭遇する疾患ですが、意外と鑑別を要することも多く、局所的・全身的合併症をしばしば併発します。

原因
口蓋扁桃は他の扁桃組織と比べてその解剖学的特徴から絶えず外来抗原から暴露を受けやすい位置にあることから急性炎症を来しやすいです。咽頭、陰窩に付着した菌が感冒や疲労などによる抵抗力の低下により増殖をきたし、感染症として成立します。起因菌にはレンサ球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などがあります。小児〜青年期に急激な悪寒戦慄を伴う高熱、咽頭痛、嚥下時痛を生じ食事の摂取が困難になります。

所見
病変は通常は左右両側に認められる。扁桃は発赤腫脹し膿栓が付着する。あごの下や首のリンパ節がはれ、痛みを伴います。

診断・検査
診断は自覚他覚所見から容易であるが状態の把握、鑑別診断、治療法の選択のためには次のような諸検査を行う。
細菌学的検査・血液一般検査・血液血清学的検査・尿一般検査

鑑別診断
ウイルスによる扁桃炎
・伝染性単核球症 EBウイルス(Epstein-Barr virus)の初感染により生じる扁桃炎。唾液を介して感染する経口感染であることからkissing diseaseともよばれます。抗生剤に反応しない高熱と両側の頸部リンパ節の著明な腫脹を認めます。扁桃には偽膜様の白苔が付着します。肝脾腫や全身に皮疹を認めることがあります。
・単純ヘルペスウイルスによる扁桃炎
HSV-1の感染による扁桃炎であるが、感染経路や感染様式の変遷により性感染症としてのHSV-2による扁桃炎もあります。症状は数日間の抗生剤投与で軽快しない高熱と摂食困難をきたす咽頭痛を訴えます。扁桃には白苔を伴う発赤腫脹を呈し口腔咽頭粘膜に多数のアフタを形成し頸部リンパ節の著明な腫脹を伴います。また皮膚や口唇に水疱、痂皮などのヘルペス疹を認めることが多いです。
治療
細菌性の場合にはペニシリン、セフェム系抗生剤を中心とした治療を行います。疼痛・発熱については非ステロイド性消炎鎮痛剤を使用し、症状が高度で摂食困難、脱水、肝機能障害などを来す場合には入院の上補液を行います。伝染性単核球症の場合、ペニシリン系抗生剤の使用は皮疹の出現、肝機能障害の増悪を来すことがあり使用しません。抗ウイルス薬(アシクロビル)は効果が認められないため、対症的な保存的治療が中心となります。


口蓋、咽頭へんとう肥大

扁桃肥大の意味
扁桃は上気道に位置するリンパ臓器で上皮性リンパ組織と呼ばれます。生理的肥大は扁桃内部で展開される生体に有利な免疫現象の形態表現と考えられます。一方で扁桃はきわめて多くの外来抗原に早期に接触するため広範囲な病原微生物による感染症も成立します。急性扁桃炎や慢性扁桃炎時など扁桃はその生理的機能を逸脱して生体に不利に働く場合もありこれを病的肥大といいます。

症状
口蓋扁桃は4〜5歳で肥大し7〜8歳で最大となり、12〜13歳で縮小し思春期を過ぎる頃には萎縮します。咽頭扁桃(アデノイド)はこれに先駆けて2〜3歳で肥大し5歳で最大となり10歳頃までには退縮します。したがって幼児、学童期の扁桃肥大は基本的には生理的肥大であるので通常は臨床症状を伴わず、単に扁桃の肥大をもって手術などの治療の適応になることはありません。しかし肥大が過度になると呼吸障害、嚥下障害をきたし睡眠時無呼吸症候群の原因となり夜尿症、陥没呼吸による胸郭発育異常、肺性心、心不全を生じます。
成人でこれら扁桃の肥大を認める場合には反復感染による急性(習慣性)扁桃炎や慢性扁桃炎や悪性リンパ腫、癌などの腫瘍性病変による病的肥大を考慮する必要があります。
咽頭扁桃(アデノイド)の場合 アデノイドは左右耳管のまんなかにあるので耳管狭窄、
滲出性中耳炎の原因になったり、アデノイドの炎症が耳管経由で中耳に炎症が普及するため急性中耳炎を繰り返したりします。

検査
生理的肥大か病的肥大であるかの判断が必要となります。
視診 生理的肥大、慢性炎症による肥大は両側性です。慢性扁桃炎では扁桃の発赤、膿栓の付着を認めます。片側性の肥大は悪性リンパ腫や腫瘍を疑います。
触診 小児の生理的肥大では柔らかく表面が平滑であるものが多いです。慢性扁桃炎では膿汁の圧出がみられます。成人例では細胞間質、線維性分の増加により硬く、また埋没していることも多いです。
臨床検査 細菌学検査、血清ASO, ASK抗体測定、尿検査による溶連菌感染の関与、病巣感染症の有無の検索。腫瘍が疑われる場合は病理組織学的検査。
その他 いびき、睡眠時無呼吸がある場合にはアプノモニターによる測定と評価。

治療
保存的治療 臨床症状を伴わない生理的肥大は治療の必要はないです。
手術療法 肥大による不利益な臨床症状を来す場合が適応になる。口蓋扁桃摘出、アデノイド切除を行います。


口蓋へんとう摘出術

適応
本来の扁桃機能を考慮すると年齢は4歳以上であることを目安とする。1年に4回以上、2年に5〜6回以上の急性扁桃炎を繰り返す場合、扁桃周囲膿瘍の既往のある場合、扁桃肥大により呼吸、嚥下障害などを生じる場合などです。単に肥大していることのみで適応になることはありません。
手術
今日ではほとんどが全身麻酔下に行われています。合併症に術後出血があります。出血時はすみやかな対応が必要で、出血部位の確認、結紮止血、止血剤の投与などを行います。再度全身麻酔下に行うケースも少なくなく、止血困難な場合には外頸動脈を結紮する場合があります。術前にはこれらに関するインフォームド・コンセントを十分に得る必要があります。
病巣感染症例における手術の場合は手術時の扁桃に対する刺激により一過性に二次疾患の症状の増悪をみることがあります。掌蹠膿疱症、IgA腎症、胸肋鎖骨過形成症の扁桃摘出による効果は80%と報告されておりきわめて有効性が高いです。


口臭

1〕 口腔内疾患
口腔内の汚染、歯周病、食物残渣、歯垢、歯石、 歯槽膿漏
口腔内には数百万の細菌が存在し、これらの細菌は食物のかすを腐らせ、口臭の原因になる硫化ガスを生み出します。その時に発生する匂いが口臭の大きな要因となります。 口臭の80%以上が、口腔内から発生します。
にんにく、生のたまねぎ、キャベツ、卵、ブロッコリー等の食物は、硫黄を含み、食後、体内に吸収された後、硫黄は肺まで達し、呼気中に放出されます。食物に関する口臭の原因は、主にこの硫黄です。肉や牛乳も、食後、口腔内を清潔に保たないと、口臭が発生します。これは口腔内の細菌が舌や歯に残った食べかすを栄養源として繁殖するからです。

2〕 耳鼻咽喉科疾患から
副鼻腔炎の後鼻漏、慢性咽喉頭炎、咽喉頭炎。扁桃にたまる膿栓

3〕 全身疾患から
糖尿病、消化器疾患、薬剤性、喫煙者

4〕 心身症
他覚的に口臭もなく、かつ口腔内などに異常を認めないが、自分に臭いがあると主張するような場合。

  1. 自己臭
  2. 嗅覚過敏状態 心身が不安定な時、自律神経症状を伴うこともあります
  3. 錯臭 どんな臭いでも不快に感じる場合など
  4. 幻臭

口内炎

口内炎は口の中に生じる炎症の総称で、8病型に分類されるがその原因は様々です。従って口腔粘膜病変のみをもって診断をすることは難しく、全身状態を含めたバックグラウンドに充分留意する必要があります。
アフタ性口内炎は1つまたは多発性の境界明瞭の粘膜病変を示し、痛みを伴います。繰り返すのが特徴です。20代に好発し、1〜2週間で治癒します。細菌感染や栄養障害、精神的情緒的障害が原因になることもあります。


唾石

唾石は唾液腺または唾液の排出される管の中にできる石です。そのほとんどはあごの下にある顎下腺とその排出管内に発生し、耳下腺や舌下腺に生じることはきわめてまれです。40〜50代を中心にやや男性に多く喫煙者に多いです。
原因は脱落した上皮、迷入した異物や細菌などが核となり、カルシウムなどが沈着して形成されると考えられています。石の大きさや形、堅さも様々です。ほとんどは片側性ですが数は複数個あることもあります。

症状は無症状のことも多く他の目的に行われたレントゲンやCT検査で発見されることも珍しくないです。典型的な症状として食事時の唾液腺部のはれと痛みがみられます。これは唾石が唾液の流れを止めるために生じます。

診断は石を触れれば容易ですが、部位や個数を知るには画像診断が有用です。レントゲン検査が簡便であるが、大きさやカルシウム量によってはレントゲンに写らない石も多くCT検査が正確です。

治療は無症状の場合は経過観察。有症状の場合でも石が小さければ自然排出あるいは口腔内開口部まで移動してくる可能性があるので、保存的に症状を鎮静させてから口腔内より摘出します。自然排出が見込めないものは手術の適応となります。炎症を繰り返し唾液腺機能も障害されている場合や唾液腺内の唾石は唾液腺とともに摘出します。
近年、胆石、尿管結石と同様に体外衝撃波法が用いられることもあります。


邪症候群

風邪の8割以上はウイルス感染であるとされていることから、抗菌薬は不要であり、従来行われてきた、総合感冒薬と抗菌剤処方という治療法は近年世界的に見直されてきています。

・非上気道炎型
急性の鼻炎、咽頭炎、下気道炎症状が同時期に同程度生じている状態で、症状が多領域にわたる多様性がウイルス感染の特徴とされます。

・鼻炎型
鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻詰まり)が主症状。

・咽頭炎型
咽頭痛が主症状で、扁桃炎の併発も含まれます。鑑別上A群β溶血性レンサ球菌による咽頭炎が抗菌薬の適応となります。

・気管支炎型
咳嗽が主症状である場合。

特殊な風邪

・インフルエンザ
近年はA型(H1N1, H3N2)、B型の3種類による流行が主流です。地域を巻き込む流行性を持つことや発熱、全身症状の強さから他の風邪症候群とは一線を画して認識されています。急激に発症する発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、咳嗽、全身倦怠感の症状と鼻咽頭粘液をサンプルとした診断キットを用いることで診断されます。近年ではインフルエンザウイルスに有効な抗ウイルス薬(タミフル)が開発され、症状の緩和、罹病期間の短縮に有効ですが、48時間以内に使用しなければ効果がなく、早期に確実な診断が重要です。

・SARS
SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)は新型のコロナウイルスによる新興感染症で、健康成人に多く発症します。2〜10日の潜伏期間の後、38℃以上の発熱、全身倦怠感、筋肉痛などの初発症状を示し、発症数日後から咳嗽、呼吸困難などの下気道症状が現れます。この時期の飛沫、尿、便中にウイルスが排泄され高い感染性を示します。下気道症状を呈する症例では約8割に胸部レントゲン写真に異常陰影を示します。10〜20%が重症呼吸不全に陥り人工呼吸器管理となります。現時点で確立された治療法はありません。患者の隔離、医療従事者の感染対策が重要です。


慢性へんとう炎

慢性扁桃炎には慢性単純性扁桃炎、習慣性扁桃炎、扁桃病巣感染症の3つが含まれています。慢性単純性扁桃炎は成人に発症し小児にはほとんどみられません。急性扁桃炎から移行する場合と喫煙・飲酒・化学物質の吸入など慢性咽喉頭炎様の扁桃に対する炎症性物質の持続的刺激が原因となります。急性扁桃炎の様な高熱、咽頭痛、嚥下痛はなく、咽頭の違和感、乾燥感、イガイガ、ヒリヒリ感、時に刺激物がしみるなどの症状があります。微熱や全身倦怠感を訴えることも多いです。口蓋扁桃は暗赤色に発赤、充血するが腫脹、肥大はなくむしろ埋没しています。膿栓や白苔の付着もはっきりせず、培養検査を行っても特異的な起因菌はなく正常細菌叢にちかいです。
習慣性扁桃炎は1年に4回以上、2年に5〜6回以上の急性扁桃炎を繰り返す状態をさします。扁桃陰窩深部に炎症巣が存在し外来からの刺激や全身状態の悪化などにより炎症が惹起されます。小児に多く3〜4歳頃から発症し、5〜6歳でピークになります。大部分は10代で自然軽快しますが、一部が成人まで移行します。成人になってから発症するケースもあります。習慣性扁桃炎の症状は急性扁桃炎と同じで高熱、強い咽頭痛と嚥下痛を訴えます。安定期は無症状であるが扁桃に膿栓の付着を認めたり、扁桃を圧迫すると陰窩から膿汁の圧出を認めます。細菌培養ではA群β溶連菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などを検出します。


扁桃周囲炎、膿瘍

急性扁桃炎、慢性扁桃炎の急性増悪に続発して生じる重症感染症です。溶連菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌など急性扁桃炎と同様の好気性菌だけでなく、バクテロイデス、フゾバクテリウム、ペプトストレプトコッカス属などの嫌気性菌も検出されることが多いです。
感冒症状、扁桃炎症状に続いて高熱、著しい咽頭痛、嚥下時痛、開口障害を生じます。これらの症状のために経口摂取が困難となり、脱水や全身状態の悪化を来します。さらに増悪すると炎症が副咽頭間隙、顎下間隙、頸動脈間隙などの深頸部に膿瘍を形成し、さらに進行すれば縦隔膿瘍に至り致死的となります。
小児には頻度が少なく、扁桃炎の既往を持つ20〜30代の青壮年期の比較的男性に多いです。膿瘍は扁桃の上極に生じることがおおいので、口蓋扁桃や口蓋弓、軟口蓋が発赤し前方に膨隆します。周囲炎であるか周囲膿瘍であるかは穿刺して膿が引けるか、またはCT・MRI検査で膿瘍の存在を確認します。
治療は抗生物質投与であり周囲膿瘍では切開排膿などの外科的治療も併用されます。保存的治療:起因菌に応じた抗生剤が選択されます。おおくはペニシリン、セフェム系抗生剤に嫌気性菌に感受性のあるクリンダマイシンが併用されます。先に述べたとおり、経口摂取が困難であることや、本疾患の重症度から内服治療による改善は期待できず、多くは入院、点滴治療となります。外科的療法:周囲膿瘍では穿刺または切開排膿の処置がされます。国内では急性炎症時の扁桃摘出は禁忌とされていますが、欧米では即時口蓋扁桃摘出術が普及しています。



ポリープ様声帯

声帯の全長にわたるびまん性、浮腫状の腫張病変をいいます。40歳以上の喫煙者に多く、嗄声や音の低音化を主症状とし呼吸困難をきたすこともあります。軽症の場合抗生剤、消炎酵素剤などで治療しますが改善が見られない場合外科的治療が選択されます。手術後の再発予防のために喫煙指導や発声制限などは非常に重要とされています。


声帯ポリープ

声帯の微細毛細血管の破錠などにより声帯上皮下に血腫が形成され、これが反復する声帯の振動などによる機械的刺激により拡大しポリープが形成されます。初診時症状として嗄声、イガイガ感、異物感ときには血痰をみることもあります。増悪因子としては過渡の発声、喫煙などがあげられます。治療としては通常外科的治療の対象となり喉頭顕微鏡下に切除します。術後は一週間ほどの沈黙療法が必要となり、また再発防止には禁煙、声の酷使の回避など病因因子の排除が重要となります。


声帯白斑症

声帯に白斑または白色腫瘤状の病変をきたすもので症状としては嗄声が主です。肉眼ではすべて白色に見える病変も病理組織学的には異形成から癌まで多彩な組織像を示し、特に異形成症は病理組織学的には癌ではないが前癌病変として注意して取り扱われます。誘因としては喉頭の慢性刺激(喫煙、音声の酷使)、飲酒などがいわれています。治療としては手術的治療が主体となりレーザーによる病変部の焼灼が一般的です。




耳下腺腫瘍

耳下腺腫瘍は耳下腺という唾液の分泌線にできた腫瘍です。耳下腺は両側の耳の下にあり成人では約5~6cm程度の大きさのものです。

腫瘍ができた場合には耳の下が膨らみを持ちますが、痛み等の症状が出現することはあまりありません。

耳下腺の腫れに痛みや「眼が閉じにくい、口が閉じにくい」といった症状が伴った場合には悪性腫瘍(癌)の可能性も考えられるので早期に医療機関を受診してください。

耳下腺腫瘍の検査・診断は超音波などの画像検査によって進めていきます。耳下腺腫瘍の診断にいたった場合、治療法は基本的に手術による摘出を行います。良性の腫瘍であれば当科での場合には1時間半から2時間程度の手術となり、入院期間は約1週間程度です。傷は約4~5cm程度ですので、術後の傷もあまり目立ちません。手術の危険性としては大きなものはありませんが、顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)の働きが鈍くなる可能性がわずかですがあります。退院後は翌日からでも職場への復帰などの日常生活を再開できます。

悪性腫瘍の場合にはこの限りではなく、病状に合わせ治療法、入院期間などさまざまですので担当医より十分な説明をいたします。



下咽頭癌

下咽頭癌は下咽頭粘膜より発生した癌を指します。下咽頭は喉頭の後面にあり、食道の入り口に存在する部位です。

下咽頭癌の特徴
下咽頭癌は近年、増加しており喫煙や飲酒が発生の危険性を高めます。下咽頭癌は発生部位によって、梨状陥凹癌、輪状後部癌、咽頭後壁癌の3つに分類されます。全体の約70%を梨状陥凹癌が占め、ついで後壁癌が約25%、輪状後部癌が約5%です。下咽頭癌全体では50〜70歳代に多く、男女比は2〜4:1です。特に男性では梨状陥凹に多く、女性では輪状後部に多く認められます。
初期の症状はのどの痛みやつかえ感などの咽喉頭頭異常感で、進行すると飲み込みにくい・声がかすれる・耳の痛みなどの症状が出現します。また、下咽頭はリンパ網に富んでいるため早期に頸部のリンパ節への転移が出現します。しかし、全体として初期の症状に乏しく、比較的進行した状態で見つかる事が多いのが特徴です
下咽頭癌の約20%程度に、他の部位に同時に悪性腫瘍を認めます。これを重複癌と呼び、他の頭頸部領域や食道に多く認められます。そのため頸部以外に症状が無くても、胃カメラなどでこれらの検査を行う必要があります。

診断
ファイバースコープ下に下咽頭を観察し、本疾患が疑われる場合には組織を採取による組織診を行います。ただし、ファイバーのみでは診断が困難であることも少なくなく、その場合にはバリウムやCT、MRIといった画像検査を行います。それでも、初期に診断をつけるのが困難なケースもしばしば認められます。

治療
手術による下咽頭の切除では、嚥下障害や喉頭摘出に伴う発声障害などQOLの低下は避けられません。そのため、QOLの低下を最小限にし、予後を改善するような治療法を選択しなくてはなりません。
比較的早期の癌にたいしては放射線治療を行いますが、効果は喉頭癌と比較しておちます。
進行癌に対しては、手術療法が中心となります。手術療法の中心は下咽頭・喉頭・頸部食道切除術(咽喉食摘術)です。切除によって欠損した部位に対しては、自分自身の空腸などを移植して再建する遊離組織移植術を行います。この術式の場合、喉頭切除にともなう失声のためQOLの低下は免れません。そのため、最近では喉頭を温存した手術療法が行われるようになってきました。しかし、いまなお適応が限られていて全例に行える術式ではありません。頸部のリンパ節転移に対しても原発巣にあわせ、放射線療法や頸部郭清術が行われます。
いずれにしても、治療の選択肢のなかから医療スタッフと患者様が相談して決定しています。


喉頭癌

喉頭は気管の入り口にあり、発声や誤嚥を防ぐ機能をつかさどっている臓器です。喉頭癌は同部位にできた癌で頭頸部癌のなかで一番頻度の高い癌です。

喉頭癌の特徴
10:1と男性に著しく多く、喫煙が発生の危険因子です。初期の症状は声がれや、のどの違和感が多く比較的早期に気づくことが多いです。進行すると、息苦しさや食事の通りにくさを自覚するようになります。早期状態で診断がつけば放射線治療により機能の低下なく根治することが可能です。進行癌では、手術療法が必要となり、喉頭を摘出した場合には声を失うこととなります。しかし、今日では声を温存できる術式も検討されてきています。

診断
喉頭ファイバーを鼻から挿入して喉頭を十分に観察します。他の癌と同様にCT,MRI等の画像検査を行いますが最終的には腫瘍の一部を採取して行う病理検査にて診断となります。しかし、喉頭癌では外来での検査が人によっては強い咳嗽反射(むせこみ)のため困難な場合があります。その場合には必要に応じて検査のための手術を行うことがあります。
治療

喉頭は発声という重要な機能を果たしているので、常に根治性と機能温存との両面より治療法を選択しなくてはなりません。
早期癌に対しては、放射線治療により良好な予後と音声の温存が得られます。照射で根治の図れない症例や照射後の再発症例には手術療法が必要となりますが、最近では音声を温存する喉頭部分切除術などが広く行われるようになってきました。
手術療法で喉頭を摘出した場合には声を失うこととなります。その場合、筆談や食道発声や人工喉頭といった代用音声でコミュニケーションをはかります。


甲状腺癌

甲状腺は気管の前方に位置し、甲状軟骨(男性で言うとのどぼとけ)の下方に蝶々が羽を広げたような形で存在しているホルモンを分泌する組織(内分泌組織)です。甲状腺より分泌されるホルモンは新陳代謝を活発にし、活動性を上昇させます。甲状腺癌は同部位より発生した癌で、病理組織上おもに乳頭癌・濾胞癌・髄様癌・未分化癌の4種類に分類され、それぞれに特徴があります。予後は他の悪性腫瘍に比べ未分化癌を除いては良く、正しい診断・治療を行えば心配する病気ではありません。

甲状腺癌の特徴
甲状腺癌はごく小さいものまで含めると約10人に1人に認められるほど実は多い疾患です。しかし比較的症状に乏しく、頸部の腫れを自覚する以外に特徴的な症状はあまりありません。腫瘤がかなり大きくなるまでのどの違和感などはでず、甲状腺機能低下や機能亢進の症状をきたすこともあまりありません。そのため、健康診断などで見つかるケースが多く存在します。
甲状腺癌のなかでは乳頭癌が最も多く、日本人の場合全体の85〜90%を占めます。頸部のリンパ節転移の頻度は高いですが、進行が遅いのが特徴です。

診断
甲状腺に腫大を認めた場合には、癌の他に甲状腺の炎症や良性腫瘍などの可能性を考慮にいれて精査を進めていきます。嚥下障害や嗄声を認める場合や、頸部のリンパ節の腫脹などが認められた場合には強く癌を疑います。
甲状腺癌の検査としてまず、最初に行われる検査は超音波検査です。超音波検査は痛みなどの侵襲をともなわず比較的手軽にできる検査で、非常に有用です。超音波および超音波下の穿刺吸引細胞診を行うことによって多くの場合診断可能です。一方、CTやMRIといった検査は腫瘍の広がり具合やリンパ節の転移を確認するのに有用です。血液検査にて甲状腺機能の評価なども行います。

治療
甲状腺癌に対しては、放射線療法や化学療法はあまり効果を期待できません。そのため、基本的に手術療法が治療の中心となります。手術通常、腫瘍の存在する側半分を切除する腺葉切除が標準ですが、癌の広がりやリンパ節転移の状態に応じて切除範囲の拡大やリンパ節郭清を行います。術後、手術によって甲状腺の機能低下や上皮小体の合併切除に伴うカルシウム調節異常が起こる可能性がありますが、腺葉切除の場合には通常これらの合併症はあまり起こりません。直径1cm未満の微小な乳頭癌、いわゆる微小乳頭癌は(検診で約100人に1人くらいの確率で発見されます)長い経過のなかでも増大することが少なく、生命の予後に無関係と言われています。最近ではそういった微小乳頭癌は厳重な経過観察のもとに手術を行わない方針をとる施設が増えています。
甲状腺癌は未分化癌を除いて基本的に予後の良い癌ですが、初診時に遠隔転移・大きなリンパ節転移・周囲組織の明らかな浸潤を認めるものの予後は劣ると言われています。このように比較的おとなしい癌ですので、逆に術後の経過観察は長期間必要となります。


上顎癌

上顎癌は上顎洞粘膜より発生した癌で副鼻腔癌に分類され、副鼻腔癌のなかで最も頻度が高い癌です。副鼻腔癌は、他に篩骨洞癌、蝶形骨洞癌、前頭洞癌があります。

上顎癌の特徴
症状が比較的出現するのがおそく進行癌で発見される事が多いのが特徴です。一方、頸部リンパ節への転移は他の頭頸部癌に比べて少ないので、局所のコントロールができれば予後に期待が持てます。腫瘍の成長する方向によってさまざまな症状が出現します。代表的な症状として鼻出血や悪臭を伴う鼻水、頬部腫脹や顔面痛などがみとめられます。ときには眼球突出や物が二重に見えるなどの症状や口が開きにくいなどの症状が認められます。

治療
上顎という場所は、解剖学的に頭部を構成している臓器の一部で、血管・神経・骨等が複雑に入り組み、機能面では上気道・消化管の一部となっています。また、これに加え、顔面という美容上の問題が加わるため、治療は大きな制約を受けることになります。このため、他部位の癌の治療のように腫瘍周囲に安全域をつけての切除が難しく、術前にある程度の制癌治療を行い腫瘍の縮小を図ってから手術を行う方法が広くとられています。いずれにしても、手術療法、放射線療法、及び化学療法を組み合わせて治療を行い、顔面の形態や機能の温存といった治療後の患者のQOLを考慮にいれて治療法を選択していきます。
手術療法は腫瘍切除による顔面の一部の欠損ができてしまう問題がありましたが、今日では、血行再建による遊離皮弁移植術が広くおこなわれるようになり、術後のQOLの低下も防げるようになってきました。


舌癌

舌癌は舌より発生する癌を指し、口腔癌の中で最も頻度の高い癌です。

舌癌の特徴
舌癌は中高年の男性に多く、喫煙・飲酒・口腔内の不衛生などが癌の発生の危険因子となります。また、歯牙との慢性的な接触も原因となることがあります。舌の端に発生することが多く、特に後方に多く認められます。症状の多くは痛みで、初期には口内炎の症状と似ています。そのため、痛みが数週間も持続するような場合には早めに専門医を受診することが大切です。進行するとろれつがまわりにくい、飲み込みづらいといった症状がでてきます。頸部リンパ節転移は比較的早期に生じやすく、腫瘍が小さい段階でも注意が必要です。

診断
ごく早期には口内炎と似たような症状のため診断は困難なことがありますが、視診、触診、画像検査を行い診断にいたります。

治療
口腔は構音、嚥下機能に関して重要な役割を担っており、治療法の選択においては治療後の機能の保持も重要となってきます。最近では手術療法による治療を第一選択として行う施設が主となってきています。しかし、進行癌では手術による欠損部位が大きくなり、術後の構音・嚥下機能の低下が問題となります。今日では、腕の皮膚やお腹の皮膚を移植する再建術が行われるようになり、機能の低下をある程度抑えられるようになっています。


頭頸部腫瘍について

頭頸部腫瘍は頸部および頭部のなかで眼球、脳をのぞいた範囲をさします。頭頸部腫瘍はそれらの範囲に発生した腫瘍で、腫瘍の発生場所によって様々な腫瘍があります。特にそれらの腫瘍で悪性のものを主に癌と呼びます(厳密には肉腫なども存在する)。
癌は発生場所によって喉頭癌、咽頭癌、舌癌などと区別されます。部位によって頻度に差があり、頻度の高いものとしては舌癌、喉頭癌、下咽頭癌、甲状腺癌などがあり、中咽頭癌、上咽頭癌、上顎癌などがこれにつぎ、耳下腺癌、顎下腺癌などは稀とはいえませんが頻度の少ない癌といえます。
組織学的にみると、扁平上皮癌と呼ばれるタイプが最も多く、鼻腔、口腔、咽頭、喉頭などの頭頸部の管腔では90%がこのタイプです。これに次いで多いのが腺癌とよばれるタイプのがんで、この両者で、頭頸部がんのほとんどを占めます。
発生場所や腫瘍の大きさ、組織の形によって、放射線や抗がん剤に対する効果、腫瘍の進展様式が異なり、治療法も異なってきます。
頭頸部がんの最大の特徴は、摂食、会話などに直接関与する部位であり、治療による生活の質の低下の可能性が常にありますが、腫瘍が進行していればいるほど、発声機能喪失や、咀嚼嚥下機能低下、顔面の変形など、治療後の障害は大きくなり、社会生活に大きなハンディキャップを負うことになります。逆に早期のものであればほとんど障害が少なく、早期発見早期治療が非常に重要となります。
頭頸部がんの症状は、がんの発生した場所によって異なります。個々のがんの症状は、それぞれの疾患の項を参照していただきたいと思います。また、頭頸部癌の特徴として比較的頸部のリンパ節への転移がおこることです。そのためリンパ節への転移による首のしこりに気づいてはじめて医療機関を受診される方も少なくありません。
強い症状がある場合はもちろんですが、1ヶ月以上も変わらず同様の症状が続く場合には早めに医療機関を受診することをおすすめします。頭頸部腫瘍は直接目で見たり、手で触れることができるためそれら活用して診断を進めていきます。必要に応じてCTやMRIの画像検査を行い、最終的には腫瘍の一部を採取して行う細胞診や組織診にて診断を行います。
治療法は主に手術療法、放射線療法、化学療法を組み合わせ、腫瘍の発生場所や広がり、組織型を考慮して選択していきます。



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